IoTを活用した新産業モデル創出に2億円

IoT、ビッグデータ、ロボット、AI(人口知能)などによる技術革新により、従来にないスピードとインパクトで時代が進行しています。この技術革新を的確に捉え、リードしていくためには大胆な経済社会システムを変革することが新たな成長フェーズへ移行するための鍵とされています。そこでノウハウや経験・知識を活用し、自由に情報を組み合わせることで新たな気づきや発見を得ることにより、現実社会で新たな価値を生み出すIoTによるイノベーションを加速させることで、社会インフラの効率化や高付付加価値を生み出すシステムに対して助成金が支給されることになります。

具体的な内容

我が国の流通システムは、古い商慣習をベースとしたルールが残っていること、IoTAI等といった技術の導入が遅れていることなどにより、返品・食品ロスの削減やリードタイムの最適化に限界があるなどのサプライチェーンの無駄が課題としてあります。このままでは、人材不足の中で社会基盤である流通システムを維持することが困難となり、国民生活や国内企業の産業競争力に悪影響を与える可能性があります。そこで目的としては、IoTAIなどの技術の活用により、流通システムの効率化を実現することに対して助成金が支給されます。

目的として、以下の2つのテーマについて実施します。
テーマ1、国内消費財サプライチェーンの効率化

  1. メーカーが商品に電子タグを貼付し、当該商品の流通過程で各プレイヤーがRFIDを用いて取得した個品単位の商品情報をサプライチェーン全体で共有するシステムを構築し、実証実験を通じて、その有用性の確認を行います。
  2. 情報共有システムは、情報共有フォーマットであるEPCISをベースとして、EPCISへ登録するイベントやCBVでは不足する用語の分析・整理を行い、サプライチェーンの様々なプレイヤーが商品に関する情報を安全に参照できる環境の整備を行います。
  3. 情報共有システムの有用性向上や将来的な社会実装を目的として、メーカー、中間流通、小売り、消費者それぞれにメリットが生じるデータ連携の在り方やデータを活用したサービス等の調査を行うと共に、調査結果等も踏まえて、商品メーカーがソースタギングを行うインセンティブが得られるための仕組みの構築および効果検証を行います。
  4. 本事業の検討結果等をふまえ、情報共有システムが備えるべき業務要件やシステム要件を整理した標準仕様案の作成を行います。

テーマ2、グローバルサプライチェーンにおきる貿易手続きの効率化

  1. 海上コンテナ輸出に係る全ての貿易手続きの情報のうち、サプライチェーンに係る事業者、すなわち輸出者、フォワーダー、陸運業者、通関業者、ターミナルオペレーター、税関、船会社が、他の関係事業者と共有すべき情報の特定を行い、その情報のセキュリティが担保された状態で、関係事業者間で相互共有されることを可能とするブロックチェーン等の技術を活用した貿易手続き情報共有システムの構築を行います。対象とする貿易手続きの範囲は、輸出者が船会社に対して船積予約を行うところから、ターミナルオペレーターが船会社へ船積を行うまでとします。
  2. 本事業では、効率的に業務が行われ、正確にデータ連携ができるよう、実際の業務要件を踏まえて業務遂行に必要な水準でデータ連携ができる仕組みを開発します。開発にあたっては、以下の機能を考慮するものとします。
    ・閲覧、変更履歴を管理し、真正性が確保されたデータ連携
    ・NACCSとのデータ連携
    ・中小事業者等のデジタルデータで連携できていない関係事業者が利用促進につながる使いやすい入出力インターフェース
    ・現在貿易手続きで関係事業者が使用しているシステムとのデジタルデータでの連携
  3. 本事業で開発する貿易手続情報共有システムの要件や、関係事業者で連携するシステムを設計する上で共通化が必要なデータおよびシステム仕様、システムを通じて必要な情報共有ルールについて検討および整理をし、報告書としてとりまとめを行います。
  4. 実証では、実証期間 にリアルタイムで実際のコンテナ輸出の情報を、貿易手続情報共有システムを使用することにより、関係事業者間で必要な情報(船積書類、船荷証券 、海外税関へ送付するマニフェスト等)が正確に必要なタイミングで共有できるか確認するものとします。尚、海外の税関のシステムと貿易手続情報共有システムが接続されることが望ましい。
  5. 実証の参加事業者は全ての関係事業者で構成され、デジタルデータで連携できていない関係事業者を含むこととします。また、実証の 対象とする日本の港は国際コンテナ戦略港湾とその他の港の両方で、実際のコンテナ輸出の情報を用いて実証を行うものとします。
  6. 貿易手続情報共有システムの効果については、二重入力の解消やリードタイムの短縮などの業務改善、 コンピューター操作に習熟していない利用者を想定したユーザビリティ、構築及び運用コスト等の幅広い観点から実際のビジネスで利用可能か検討を行います。また、セキュリティ&プライバシー、パフォーマンス&スケーラビリティ、障害耐性などの非機能要件についても検証を行います。これらの検証は、定量的な観点で実施するものとします。
  7. 実証結果を踏まえ、貿易手続情報共有システムの拡張性や社会実装に向けた道筋についても検討を行い、取りまとめた結果をNEDO に対して提言するものとします
  8. 本事業にあたっては、別途NEDOが公募する調査事業でデータの標準化や共有ルールについて検討するために、開発したシステムやデータ連携の仕様、実証結果などの情報提供を行います。

助成金の額

テーマ1:2億円
テーマ2:1.8億円

提出期限

平成30年6月13日(水)正午必着

IoTを活用した新産業モデルに興味のある企業の方は、ぜひご検討してみて下さい。ご不明な点があればお近くの専門家、または下記フォームよりお問い合わせ下さい。


出典URL
http://www.nedo.go.jp/koubo/IT2_100053.html