そもそも助成金とは?

助成金や補助金など、国から支給されるお金は、そもそも、どういう仕組みで、どういう根拠があって支給されているかご存知ですか?

新聞やテレビなどで、よく不正受給という言葉があり、助成金や補助金に対して良くないイメージをもっている方もいるのではないでしょうか。また助成金や補助金は大手企業が受給するものであって中小企業には該当しないと思っている人もいるのではないでしょうか。

今回は、そもそも助成金とは何なのか、をお伝えしたい思います。

助成金と雇用保険法の関係

助成金とは、雇用保険法に規定されており、法62条雇用安定事業、法63条能力開発事業を行う企業に対して助成するものを助成金といいます。従って、助成金は雇用保険法が根拠となっており、みなさんから集めた雇用保険の保険料が原資となっているのです。

助成金のポイント

  • 助成金は、雇用保険法62条(雇用安定事業)、63条(能力開発事業)が根拠となっている。
  • 助成金は、雇用保険の保険料が原資となっている。

62条雇用安定事業について

政府は、被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者に関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため雇用安定事業を行っています。

雇用安定事業として下記の事業があります。

① 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合において、労働者を休業させる事業主その他労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行う。

② 離職を余儀なくされる労働者に対して、雇用対策法26条1項に規定する休暇を与える事業主その他当該労働者の再就職を促進するために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと。

③ 定年の引き当て、継続雇用制度の導入等により高年齢者の雇用を延長し、高年齢者等に対し再就職の援助を行い、もしくは高年齢者等を雇入れる事業主その他高年齢や等の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行う。

④ 高年齢者等雇用安定法34条に規定する地域高年齢者就業機会確保計画に係る国が実施する高年齢者の雇用に資する事業のうち、雇用の安定に係るものを行う。

⑤ 雇用機会を増大させる必要がある地域への事業所の移転により新たに労働者を雇い入れる事業主、季節的に失業する者が多数居住する地域においてこれらの者を年間を通じて雇用する事業主その他雇用に関する状況を改善する必要がある地域における労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行う。

⑥ 障害者その他就職が特に困難な者の雇入れの促進、雇用に関する状況が全国的に悪化した場合における労働者の雇入れの促進その他被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であって、厚生労働省令で定めるものを行う。

63条能力開発事業について

政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業を行っています。

能力開発事業として下記の事業があります。

① 職業能力開発促進法に規定する事業主および職業訓練の推進のための活動を行う者に対して、同法に規定する計画に基づく職業訓練、同法に規定する認定職業訓練その他当該事業主等の行う職業訓練を振興するために必要な助成及び援助を行うこと並びに当該職業訓練を振興するために必要な助成及び援助を行う都道府県に対して、これらに要する経費の全部又は一部を行う。

② 公共職業能力開発施設等又は職業能力開発総合大学校等を設置し、又は運営すること、職業能力開発促進法に規定する職業訓練を行うこと及び公共職業能力開発施設を設置し、又は運営する都道府県に対して、これらに要する経費の全部又は一部の補助を行う。

③ 求職者及び退職を予定する者に対して、再就職を用意にするために必要な知識及び技能を習得させるための講習(「職業講習」)並びに作業環境に適応させるための訓練を実施すること。

④ 職業能力開発促進法に規定する有休教育訓練休暇を与える事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと。

⑤ 公共職業能力開発施設又は職業能力開発総合大学校の行う職業訓練又は職業講習を受ける労働者に対して、当該職業訓練又は職業講習を受けることを容易にし、又は促進するために必要な交付金を支給すること及びその雇用する労働者に職業能力開発促進法に規定する計画に基づく職業訓練、認定職業訓練その他の職業訓練を受けさせる事業主(当該職業訓練を受ける期間、労働者に対し所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う事業主に限る。)に対して、必要な助成を行うこと。

⑥ 技能検定の実施に要する経費を負担すること、技能検定を行う法人その他の団体に対して、技能検定を促進するために必要な助成を行うこと及び技能検定を促進するために必要な助成を行う都道府県に対して、これに要する経費の全部又は一部の補助を行う。

⑦ 高年齢者等雇用安定法34条に規定する地域高年齢者就業機会確保計画に係る国が実施する高年齢者の雇用に資する事業のうち、労働者の能力の開発及び向上に係るものを行う。

⑧ 労働者の能力の開発及び向上のために必要な事業であって、厚生労働省令で定めるものを行う。

このように、助成金は、雇用保険法の62条(雇用安定事業)、63条(能力開発事業)に細かく規定されていて、これらの関連する事業に対して助成金が支給される仕組みなのです。

助成金はいつ頃から開始されたのか

助成金が開始されたのは、いつ頃かご存知ですか?
または、雇用保険法の始まりは?

昭和22年:失業保険の制定
まず昭和22年に政府は失業者の生活の安定を目的に失業保険を制定しました。

昭和50年:雇用保険へ名称変更
失業保険が失業者の生活の安定を目的としていましたが、その後の高度成長により働いている労働者や会社を経営している事業主を支えるために失業保険から雇用保険へと名称と目的が変わりました。つまり、この時点の目的の一つである事業主を支えることが助成金の始まりなのです。
すなわち、助成金は昭和50年(施行)から中小企業を支援するために実施されています。

現在の雇用保険料の原資額はどれぐらいか

では、助成金の原資となっている雇用保険料の原資額は現時点でどれぐらいあるのでしょうか。下図を見て下さい。

平成28年度あたりまで6兆4千億円まで積み上がっていました。平成29年度は5兆4千億円と1年間で1兆円も減少しています。これは助成金などにより企業を活発化させるために使われたと思われます。みなさんの会社では助成金を活用しましたか?

せっかくみなさんから集めた雇用保険の保険料なのですから、自社に還元させたいですよね。助成金情報は知っているか知らないかで、大きく変わってきます。是非、この機会に助成金などの情報を随時チェックして頂ければと思います。

あんしん助成金newsは、そういった情報収集の一助となれば幸いです。
最近、少しずつ相談も来ております。
まずは、小さなことでもお気軽にご相談頂ければと思います。


出典URL
http://www.jil.go.jp/rodoqa/10_hoken/10-Q04.html